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2008年2月21日 (木)

チェスでの先手勝率

 チェスに関しては、「先手有利で後手はドロー(引き分け)にできれば喜ぶべき」と言われていることを御存じの人は多いと思う。では実際にはどの程度の割合で先手有利なのか、またドローの割合はどうか、となると広くは知られていないように思う。で、調べて見たが私の英語力ではそのような統計をきちんと論じているサイトや文献を見つけることはできなかった。

 そこで統計のひとつのサンプルとして、次のサイトにある世界チャンピオン戦のデータで統計を取ってみた。
http://www.mark-weeks.com/chess/wcc-indx.htm

 先手有利が明らかなチェスでは、世界チャンピオン戦のような公式試合は、偶数番マッチで先手後手を1番ごとに交替して行うのが普通である。ドローは0.5点、勝ちは1点、負けは0点とするので、24番マッチなら12.5点以上を先取したら勝ちになる計算である。マッチの記録では、最初に先手となるプレイヤー名が上の欄に書かれているので、先手後手それぞれの勝率も知ることができる。この記載ルールは常識であるらしく明記したところが見つからないのだけれど、棋譜から先手プレイヤーがわかる番と突き合わせると、この記載ルールがわかる。対戦者名を並べたタイトルでは、そのマッチの勝者を先に書くのが上記サイトの方式らしいが、一般的なものかどうかは不明である。現チャンピオン(防衛側)を先に書くという方式もありうると思うが、なんだか囲碁将棋でどちらが上座に座るのかの決め方を連想させる。

 結果を以下の表にした。








年代 対戦数 ドロー 先手勝 後手勝 ドロー率(%) 先手勝率(%) 後手勝率(%) 先手勝/後手勝
1907-37 216 108 69 39 50.0 31.9 18.1 1.8
1951-72 225 123 66 36 54.7 29.3 16.0 1.8
1984-2000 247 170 55 22 68.8 22.3 8.9 2.5
1984-90 144 104 30 10 72.2 20.8 6.9 3.0
1991-2000 103 66 25 12 64.1 24.3 11.7 2.1

 1984-90年ではドロー率も[先手勝/後手勝]も他の年代よりはっきりと高い。が、実はこれらは全て"Kasparov v.s. Karpov"という二人だけの対戦であり、マスター同士の対戦の一般例とみなすことは難しいだろう。それを除くと、20世紀前期、中期、後期でのドロー率は50%、55%、64%と上昇しており、[先手勝/後手勝]はほぼ2である。どうやら戦術戦略の進歩によるドロー率の上昇があったのではないかとも推察できる。

 それにしても先手勝率が後手勝率のほぼ2倍とはすさまじい偏りである。これに比べたら将棋において、2004年のプロ棋戦で先手勝率が史上最高になったなどと言っても大したこととは感じられなくなる。

 なおチェスにおいては後手番でドロー率の高いプレイヤーは高く評価される。このようにドロー率に関する言及は多いのだが、先手有利度を示す[先手勝/後手勝]比に関する言及はあまり見つからなかった。これは上記のように、[先手勝/後手勝]はあまり変動しないためなのだろうか?

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